コフィーの手、ジングルスの手
S・キングの『グリーン・マイル』を読んでの一考察
○はじめに…
以下の感想文はPart1〜6に分割されて出版されたSignet社の洋書版“The Green Mile”に基づいて書かれています。尚、わざわざこんな前置きを述べたのは私の英語力を厭味ったらしくアピールするためなどでは決してなく、日本語版と比べて登場人物名のカタカナ表記が微妙に違っていたりして混乱させたら悪いなという優しい心遣いからでございます。ちなみに、映画だけ御覧になった方が映画の感想文として読まれても、かなり原作に忠実な映画化だっただけに何ら違和感がないでしょう。最後に、この文章は9年程前に前述の洋書版を読み終えた直後に書いたものに手直しを加えた内容です。
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部屋に蝿が入って来ると、いつもならすぐさま追い出そうとするところをそうはせず、ジッとその仕種に見入ってしまうことがありします。蝿はテーブルの上か、あるいは私の手等にとまって器用な手先で身繕いを始め…手といっても、それは人間から見れば1センチあるかないかの細い糸のようなものだけど、蝿は頭に最も近い二本のそれを小まめに擦り合わせては額を撫でたりしています。そんな姿を見ているうちに、それが猫等がよくするのと同じ仕種であることに気づいては、相手が蝿であって蝿でないようにさえ思えてきたりして。普段は目障りで、ともすれば不潔極まりない忌むべき害虫である蝿は、この時点で私にとって猫ほどの存在感を持つようになってしまうのでした。すると、それまでに平然と何匹もの蝿を殺してきたことが、とてつもなく愚かで恥ずべきことのように感じられるのです。煩わしく空中を飛び回る黒い点でしかなかったモノが、生命として機能している事実を目の当たりにさせられてしまうからでしょう。猫や犬ならば、少なからず日頃から自分と同じ生物であるという意識が働いているから、彼らが身繕いをしたところでさして驚きはしませんが、相手が蝿ともなると話はかなり違ってきます。害虫だから。小さいから。と、いうような理由で何の罪悪感もなく殺して良いものと考えていた相手だからこそ、その生物としての本性を垣間見た瞬間はショッキングだったりします。








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