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mag 15, 2005

ウディ・アレン様の『影と霧』;
この映画の謎は、貴方様の人生の謎そのもの?

私はウディ・アレン様が大好きでウディ・アレン様の映画はほぼ全部観ておりますのに、何故か此れまでは一度もこのブログでウディ・アレン様の作品について記した例がございません。ウディ・アレン様、ウディ・アレン様、ウディ・アレン様!如何かお赦しくださいませ。如かしてウディ・アレン様よ…ウディ・アレン様の映画についての感想を述べましたり、ウディ・アレン様の映画についての分析を致しますことは、些か憚られますもので。何故ならばウディ・アレン様の作品に於かれましては、お言葉即ち台詞やナレーションが、余りに詳細にして完璧にそのエッセンスの総てを既に物語ってくださっておりますもの。ウディ・アレン様の映画を鑑賞し終えましたところで、それ以上に一体何を語ります必要などございましょう?

とは申しませども、ウディ・アレン様の作品中の膨大な数の台詞の中には、意外にも一つとしてその物語のテーマをズバリ率直にお言葉になさっておられるものは、私が知り得ます限りでは無きように存じます。ウディ・アレン様は酷く心配症なお方様のように思うのですが。御自身の表現なさりたいことが、確実に観客様方に伝わっていますのか否か?と、ウディ・アレン様は気が気でいらっしゃいませんが故に、ついつい台詞を付け足しに足されてしまって、その結果としてウディ・アレン様の映画の人物様方の多くは、類稀なるお喋り好きなキャラクターへと変貌されてしまうのでしょう。時には笑いを誘ってくださいますユーモア溢れるお言葉を、また時には心にしんみりと浸透しますようなポエティックな叙情感に満ちたお言葉を彼らに語らせて、ウディ・アレン様は巧みにエンディングまで観ます者を飽きさせません。ですが、それらはウディ・アレン様特有のレトリックに過ぎないのです。ウディ・アレン様は実は大変、意地悪なお方様。或いは単にシャイなだけなのでしょうか?仰りたい本音は決してお言葉で語ってはくださいませんもの…

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いえいえ、少々違うかと存じます。ウディ・アレン様は意地悪でシャイなだけでは無く、御自身様も実は作中で何を言わんとしておられますのか、完全に把握しておられないのかも知れません。なぞと記しませば、少々語弊がありましょう。例えウディ・アレン様が意地悪でシャイで、更に数年前に浮上しました疑惑通りの美少女愛好性的異常者でありましたとしても、ウディ・アレン様は少なくとも決しておバカなお方様ではございますまい。ウディ・アレン様は正しく、天から有らん限りの芸術性豊かな才分を恵まれていらっしゃいますもの。この事実を否定出来ます愚か者など、そうそうおられませんはず。ウディ・アレン様の映画について偉そうに御託を並べますことが、恥ずべき行為のように感じてしまいますのも、偏にウディ・アレン様の天質を認めずにおられませんからかも知れません。

が…!本日の私は斯様な愚行を遣って退けます心積もりでして。昨日、十年振り以上にウディ・アレン様の“Shadows and Fog”(邦題:『ウディ・アレンの影と霧』)を観てしまいましたもので。現在よりも更に青二才でございました私が、初めてこの作品を拝見致しました際に自分なりに考えましては至りました解釈が、ウディ・アレン様の作家としての意図に則したものでありましたか如何か、確認したいが為の再鑑賞。私はウディ・アレン様が随所に散りばめられました、物語の真相に到達させます道標のような数多の台詞を、今回は一言たりとも軽んじずにじっくりと吟味しながら臨みましてよ。では、“Shadows and Fog”を御存知ありません皆様の為に、先ずは粗筋をば…

舞台となりますのは、お国も時代も不明な架空の町。全篇モノクロでございますこの作品は、この架空の町でのたった一夜の出来事を描かれましたもの。白と黒と灰色だけで画面に映し出されます町の印象は、まるで切り裂きジャックが英国中を恐怖のどん底に陥れていらした当時を彷彿とさせます。其処に住んでいる平凡な会社員らしき主人公様・クライマン氏(ウディ・アレン様御自身)は、その晩遅く複数の背広姿の殿方達に、眠っておられましたところを叩き起こされてしまわれました。殿方達は町の自警団の皆様でして、霧の夜に出没しては幾人ものお命を奪っている謎の殺人鬼殿を、捕らえます為の計画を練られましたとか。絞殺したり喉を切ったりと、神出鬼没にして確と標的を亡き者にする殺人鬼殿は、以前からその町の住民様方を脅かしていらした御様子。自警団の一員でもありましたクライマン氏は殺人鬼殿をお縄にします計画に於いて、とある任務を課せられてしまいます。が、身支度を整えて御自宅の外へと出られましたら、待っていらしたはずの自警団のお仲間達は何方様もおられませんでした。ところで…クライマン氏に与えられました、とある任務とは?実はクライマン氏自身もお仲間の皆様方から知らされていなかったもので、然るに観客も彼と共にその任務が何であるかを求めながら、霧夜の町を延々と徘徊しますことに。クライマン氏は犯罪被害者の検死解剖も行っておられます、彼の主治医様の元を最初に訪れました。主治医様はクライマン氏の任務については何も知らないと言って、代りに殺人鬼殿の中に巣食っている‘悪’の正体について、奴の身体を解剖することさえ可能なら、きっと科学的に解明出来るはずとの自論を説かれました。クライマン氏は然程その御演説に感銘を受けずに再び町中へ。やがては偶然、自警団のお仲間のお一人様に出逢われます。が、‘何?自分の任務も知らないのか?’と罵倒されましただけで、彼もクライマン氏に任務の内容を教えてはくれませんでした。そんな中、殺人気殿は次の獲物に狙いを定めて…それはクライマン氏が少し前に別れたばかりの、他なりません主治医様。音も無く突如として出現しました大柄で無表情な正体不明の男を、如かして検死解剖を行っていらした主治医様は何故か一目で殺人鬼殿だと見破られました。‘何時かは貴方が来るだろうと予想してはいましたが、余りに突然で少々驚きました’と、主治医様は少々不思議な台詞を殺人鬼殿に仰います。そして初めは冷静でしたものの、殺人鬼殿が迫って参りましては恐怖に慄きながら、主治医様も必死の逃走を。さて、主治医様の運命や如何に?殺人鬼殿の正体は?クライマン氏は御自身の任務を知りますことが出来ますのでしょうか?物語は登場人物様方の動向を、避けては通れません運命のように、自ずと駆り立てて展開されます。けれども皆様、如何か誤解なさらないでくださいませ。この映画は決して推理サスペンスでも、猟奇ミステリーでもございません。それでいながら観ますお方様の推理力を誘発なさって、謎解きを半ば強制致しますこの作品は、紛れもございませんミステリアスな傑作。故に残念ではございますが、此れ以上は黙しますべきかと存じます。

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キーワードは‘任務’…自分は何を成すべきなのか?クライマン氏は物語の最後で、ようやく御自身様なりの‘任務’を見出されます。主人公様が‘任務は?’と、遭遇されますお方様に尽く尋ね廻られていらしたものの、この作品に於けます‘任務’なりますお言葉は、密かに別の意味が含まれておりまして。それさえ読み解かれませば、必然的に殺人鬼殿が誰でありますか…否、殺人鬼殿が‘何’でありますかも分って参ります。

私の書いておりますことは“Shadows and Fog”を御覧になっておられません皆様方には、まるでチンプンカンプンでございましょう。或いは、既に御覧になられていらっしゃいます皆様にも同様かも知れません。本日のログはお読みくださいます数少ないお方様を、煙に巻きますような不親切極まりないものですわね。おほほほほほ!けれども、仕方がございません。“Shadows and Fog”とは、それそのものを推理せねばなりません映画なのですもの。観客様方もクライマン氏と何ら変らず、最初から最後まで五里霧中。従いまして“Shadows and Fog”について何かしら記しましょうものならば、同じ手法で致しますのが作法かと思わずにおられません。

嗚呼、でも…私なりの推理を公表したい気持とて山々です。ので、一つだけヒントを差し上げましょうかしら?一つくらいなら許されましてよね?この映画の中にはサーカスの団員でいらっしゃる、初老の奇術師様が御登場なさいます。彼は物語のラストで、‘(サーカスの)観客には幻想が必要なのだ!まるで、空気のように!’と、実に小粋なマジシャンらしい台詞を仰るのですが…そのお言葉&殺人鬼殿が被害者様方のお首を絞めたり、又は喉元を切って殺されます犯行の手口。そのお二つを関連付けながら、観てくださいませ。あら、結構なネタバレをしてしまいましたような…

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更に、最後に御忠告をば!“Shadows and Fog”の殺人鬼殿は、何時か必ず皆様の元へも訪れましょう。勿論、私とて例外ではございません。私達はその訪問が、出来ます限り遅いことを願います術しか持ち得ないのです。そして命を奪われます瞬間が、なるべく苦痛と恐怖を伴いませんように…何方様もが同じ想いでおられましょう?けれども“Shadows and Fog”は、殺人鬼殿の到来を観ますお方様全員に宣告されつつも、その耐え難い事実に怯えながらのみ存在されますような生き方には、高らかに警鐘を鳴らしているのです。‘深く心地良い眠り’から問答無用で目覚めさせられ、影に震え上がっては霧に迷われながら、御自身様の‘任務’を手探りなさっていらっしゃいます、世界中の全ての‘クライマン氏’…この映画の本性を突きとめられることは、貴方様の生の在り方を見極められます鍵となり得るかも知れません。どうぞこの作品を御覧になってお心の‘霧’を晴らしては、皆様に覆い被さっておられましょう数多の‘影’の重圧を、僅かでも解き放ってくださいませ…

まるで、空気のように♪

追伸:さて、問題です!今回のログの中で私は一体何回、‘ウディ・アレン様’と記しましたでしょう?

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◎今回のログに関連で御紹介したいログ:
・oga.のこだわり様の:「ウディ・アレンの影と霧」
・オニゾリ・ロッキン・オン様の:「ウディ・アレン」
・しゅみーズ様の:「影と霧 1992」

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この映画の謎は、貴方様の人生の謎そのもの?
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